真空管ドライブMOS−FETパワーアンプ 製作手順
  回路図1 回路図2
  部品表
  部品実装図
  基板パターン図1(半田面)
  基板パターン図2(部品面)

  データーシート
  2SK2220 2SJ351
  2Sk246GR 2SJ103GR
  2SC1845
  2SC1213
  DTC143TS
  WE407A GE5670



本組立て説明中の写真は、初期動作確認用ですので、配布部品以外の部品が実装されている箇所があります。
配布部品セットの部品内容は、部品表を参照願います。


1、部品確認
  最初に部品表と現物とを照らし合し全部品が有るか確認願います。
  配布部品の中で下記品は、特性のそろったペアー品です。
  1、真空管(タイプA、B、C)
    実回路でgmを測定してペア組した物です。
  2、出力MOS−FET(2組)
    VGSを合わせたペアー品で全て同じ値の物が4つです。(専門店より測定済品を購入)
  3、ドライバー段FET
    当方でIDSS値を測定し近い物同士をペアとしたものです。

2、次は基板のミシン目より、AMP部2枚、電源部(PU)、保護回路部(TEST)を切り離します。
  基板の両面よりカッターで数回キズを付けて折ります。
    

3、基盤組立て
  ・アンプ基盤(AMP)
   VR1、2の取り付け方向を写真を参考にし、取り付けてください。
   取り付け方向が違うと、後の調整時で廻す方向が変りますので注意願います。

   C3は、実装しません。
   R4は、ショート(ジャンパー接続)します。

   Lは自作します。
   1mmのポリウレタン線又はエナメル線を10mmの筒に10回巻き作ります。
   あまり神経質になる事はなく、8〜11mm程度の筒に巻けばOKです。
    

   J396、J407の接続
   J396、J407は、ヒーター電源と真空管ヒーターとの接続を行っています。
   使用真空管が、407Aの場合は、J407を接続
   使用真空管が、5670の場合は、J396を接続 します。
   必ずどちらか片方のみ接続してください。両方接続すると壊れます。

  ・電源基盤(PU)
   全部品を実装します。

  ・保護回路基盤(TEST)
   R3は、ショート(ジャンパー接続)します。
   外部引き出し端子の3、4番には、何も接続しないで下さい。
   Q5、Q6の取り付け方向は、間違えやすいので、データーシートを確認し方向を間違えないよう取り付け願います。
   CPUの下にジャンパー接続箇所(JT)があります。
   CPU用ICソケット実装前にジャンパー有、無を決め作業します。
   このジャンパー部分で温度異常検知時のRL3、4をON(接点閉)/OFF(接点開)を変更できます。
   ・オープン時の動作
     電源ONとほぼ同時にRL3,4リレーがON(接点接続)
     温度異常検知時(約90℃)にOFF
     これは、RL3、4に出力段用電源を接続し温度異常検知時に電源を断(OFF)をさせる場合です。
   ・ショート時の動作
     通常時は、OFF状態
     高温時(約70度)にON、約50度でOFF
     これは、RL3、4にファンを接続し温度異常時に強制空冷させる場合です。
     (ファン用電源は、別途用意の事、アンプ部と共用できません)

   温度検知用サーミスターは放熱器に取り付け基盤と接続します。
   付属のサーミスターは、線の付根部分に力がかからない様にしてください。
   また、ショートしない様にテープなど巻き絶縁して放熱器に取り付けます。
   放熱器の温度監視を行わない場合は、サーミスター端子をショート接続します。
   取り付け例。出力段MOS−FETの近くに取り付けてください。

   TEST基盤には、7つのLEDが接続可能です。
   LD、RD、LTは、異常検知時に点灯して、異常個所を表します。基盤に直接LEDを実装します。
   RTは、RL3,4がON(ショート)中に点灯します。(LED用)
   MUTEは、RL1,2がOFF(オープン)時に点灯します。(LED用)
   障害発生は、出力DC検出、温度異常(FAN動作時)に点灯します。(LED用)
   POWERは、電源ON時に点灯します。(LED用)
   動作確認時は、LD、RD、LT、RTのLEDと抵抗は実装願います。(LED、抵抗は未添付)
   全て正常なら不要ですが、問題ありの場合原因がわかりやすいです。
   

   MUTE、RSTは、スイッチ用端子です。(押している間のみONするタイプ)
   MUTEスイッチを押すと、出力段リレー(RL1、2)がON/OFFします。(MUTE LEDもON/OFF)

   RSTスイッチは、CPUリセットです。通常は不要です。電源OFF/ONと同じです。
   保護回路で異常を検知すると、CPUは、リレーを制御して、LEDを点灯させた後、動作を停止します。
   要するに異常検知後は、出力断状態を維持し自動復帰しません。
   RSTスイッチを押すと、初期起動プログラムからスタートします。

   添付するプログラム済CPUには、赤色シールを貼っています。
   シール無しの場合、未プログラムの可能性があります。

  ・共通
   背の低い部品より取り付けた方が良いです。
   本基板は、添付部品以外の部品へ交換する場合を考慮して、複数の取り付け穴が開いています。
   特にコンデンサーを取り付ける場合は、穴を間違えない様注意願います。
   基板パターンを確認して部品取り付け願います。
   また極性の有る部品は、くれぐれも間違えないよう取り付けてください。
   添付部品の中には、足がフォーミング(基板挿入用に曲げ加工されている)品が含まれていますが、
   基板穴間隔は、部品足を付根から真直ぐ伸ばした状態で挿入出来るよう設計しています。

       

     

これで基板部分の完成です。

  単体基盤の動作確認
  1、電源基盤(PU)
    基板にトランスを接続して電源を入れます。
    煙や臭いに気おつけて異常時はすぐに電源OFF出来る状態で作業します。
    問題無ければ各出力電圧を確認してください。
    V+・GND間 約150V
    H+・H−間 約6V 又は 約20V

  2、保護回路基盤(TEST)
    基板にトランス、サーミスターを接続して電源ONします。
    煙や臭いに気おつけて異常時はすぐに電源OFF出来る状態で作業します。
    JTショートなら、すぐにRL3、4がONします。
    約10秒後にRL1、2がONします。
    (真空管の予熱、出力FETの温度安定を考慮してミューティング時間を長くしています)
    また、MUTEスイッチを押すとRL1、2とMUTE LEDがON/OFFます。
    異常検出時は、LD、RD、LTと障害発生LEDが点灯します。
    
異常検出時は、CPU動作を停止しますので、MUTE SW等も受付ません。
    RT LEDは、RL3,4リレーが動作中に点灯します。

  3、アンプ基盤(AMP)
    保護回路基盤とは、接続しない状態で下記を行います。
    入力は、ショートしておきます。
    MOS−FETは、添付のシルコンシートを挟んで放熱器に取り付けます。
    取り付けネジは、購入者にてご使用の放熱器に合わせ用意してください。
      MOS−FET放熱器取り付け時の注意
      MOS−FETを放熱器に取り付ける場合にいくつか注意する点があります。
      1、基盤に実装状態での取り付け間隔は64mmです。
        よって放熱器の穴あけ間隔も64mmです。
      2、穴が合わない場合、絶対無理に取り付けない事
        出力段は、動作時、高温になります。
        温度変化により金属は、少しですが伸び縮みします。
        何度も繰り返していると故障する場合があり無理に取り付けると、後で原因不明で壊れる事があります。
      3、取り付けネジの閉め過ぎに注意の事。
         取付例

    出力端子にダミーロード8Ω(10W以上)の抵抗を接続します。
    ダミーロード抵抗が無い場合、8Ω10W(20W)の抵抗を4つ用意して
    2本づつ並列接続の物を直列接続にして8Ω20W(40W)として使用します。
      
    VR1、2には、多回転(25回転)型のボリュウムを採用しています。
    最後まで廻しきっても回転が少し重くなりますが、尚廻ってしまいますので、回転が重くなったらそれ以上
    廻さないで下さい。
    VR1は、真ん中(12回転)の所にしておきます。
    VR2は、左(時計と反対)へ廻しきった状態にしておきます。
    にします。
    出力端子(OUT)とGND間にテスターを接続して電源をONします。
    煙や臭いに気おつけて異常時はすぐに電源OFF出来る状態で作業します。
    1、出力端子(OUT)とGND間が0Vに成るようにVR1を調整します。
    2、TP+とTPO(出力端子でもOK)間にテスター(電圧測定)を接続してVR2を調整します。
      VR2では、出力段のアイドリング電流を設定します。
      TP+、TPO間で電圧値とアンドリング電流は、
         電圧       アイドリング電流
         30mV      127mA
         35.25mA   150mA
         47mV      200mA
      です。
    発熱との関連もありますので、120mA〜200mA程度ぐらいがよいと思います。
    (私は、30mV(127mA)に合わせています。)
    上記は、お互いの調整で多少値がズレますので、繰り返し数回行います。
    片方を調整するともう片方がずれるので、なかなか合わせにくい場合もあります。
    この場合、アイドリング電流は上記範囲内で、出力0VならOKとします。
    ただし、左右で同じ値が良いのですが・・・これも近い値ならOKです。
    また時間が経つと値が少しずれてきますので、電源ON後、30分程度経って温度が安定した後に
    再度上記(1、2、)調整を行います。(出力0Vを確認してずれてなければOK)
    ・VR1、VR2を廻す時は、慎重にゆっくり廻してください!!
    ・けして大きく廻さないで、少しづつゆっくり廻します。!!

    ・テスターをTP+、TPOに接続する時は、周りの部品と接触しないように十分注意して下さい。
     特にMOS−FETとの接触には注意願います。

      (仮で測定端子に配線しておき、調整後取り外すのが簡単かもしれません。)
    上記調整完了後に保護回路基盤へ接続します。
    (先に接続すると調整中に保護回路が動きますので!)
    
  4、全体接続
    配線接続例を参考に全体配線を行ってください。
   
  注意!!!!
  真空管を抜いた状態では電源を入れないでください。
  真空管が付いている状態で適正電圧、電流が流れます。
  感電にはくれぐれも注意願います。
  真空管回路には、高圧がかかってます。


  
  
その他、注意事項
  タイプDをご購入される方への注意とし、当アンプのゲインは、全て真空管部で決まっています。
  よって、2台(左右)のアンプでゲインを合わせる為、使用真空管は、ペア品をお使いください。
  ペア組される場合は、実機に挿し、SRPP回路でペア特性を計ってください。
  真空管試験機で方ユニット単位で測定しても実回路では、gm値が変ります。
  当方で本アンプ用に60本のWE407Aを測定して18組のペアが取れましたが、WEと言えども数本のサンプルでは完全
  なペアは取れないです。

参考 当方組立て品での特性
無信号雑音電圧 約1.2mV(RMS)
入出力特性
周波数特性
ひずみ率特性


その他必要品
音だしする為には、本部品セット以外に材料が必要です。

(1)電源トランス
   25−0−25V、3A以上 出力段用
   0−17V、1A 保護回路用
   0−8V、1A 又は 20V、1A 真空管ヒーター回路用
   0−120V、30VA 真空管回路用 (安価な絶縁トランスがおすすめ)

  使用トランスが、シールドなしの場合、フラックスの影響を考慮しシャーシ内レイアウトしてください。

(3)その他
・線材
・ケース
・その他いろいろです。

 自分用のアンプ製作記があります。
 製作時の参考にしてください。