・真空管ドライブMOS−FETパワーアンプ
 2005/07
 真空管の音が好きです。
 作りたい球は、沢山ありますが・・・一般的に製作費が高いのが悩みです。
 製作費高騰の一番は、トランス関係だと思います。
 出力段にMOS−FETを使い、電圧増幅段に真空管を使ったら、
 製作費 対 音質のバランスが良い物が作れるのでは?と言う事で製作開始します。
 
1、基本構成設計
 通常、パワーアンプを製作する場合、目標出力を最初に決めて設計に入る事が多いと思います。
 今回は、電圧増幅段に片CHあたり真空管1本を使用する予定です。
 また、使用真空管は、WE407Aとします。
 真空管で、MOS−FETをドライブする場合、最初に思いあたるのは、
 ・真空管=高出力インピーダンス
 ・MOS−FET=入力容量が大きい
 です。
 このままでは、高域の減衰が大きくて使い物にならない事が予想できます。
 MOS−FETの入力容量は、値の小さな物を採用するとしても数百pFはあるので
 ドライブ段の真空管出力を低インピーダンス化する必要があります。
 ゲインが稼げて出力インピーダンスが低い回路としてSRPPを採用する事にします。
 WE407AでSRPP回路を組んで、増幅度がどの程度得られるかで、本アンプの出力パワーがほぼ決まります。
 バラックでSRPP回路を組んで、どの程度の出力が得られるか実験してみる事にします。

実験回路
 RLを22KΩとし+Vが150Vて、入出力特性を測定してみました。
 この回路で1V(RMS)入力で約25Vp−p出力電圧が得られました。
 また2V(RMS)入力では、約50Vp−p出力電圧が得られました。
 1V(RMS)時に得られる出力は、ロスが無い計算上の値で、約9.5W
 2V(RMS)では、約39Wです。
 
 入力電圧はRMS(実効値)で表して出力はp−p(ピークーピーク)で表しています、
 パワーアンプの出力は、出力段をドライブする電圧のp−p値で決まります。
 出力パワーは、終段に供給する電源電圧により出力可能なパワーが決まり、終段をドライブする
 p−p電圧で実出力が決まります。

 終段への供給電源電圧と出力の関係は、Po(出力)=Vcc(電源電圧)×Vcc/2RL(負荷抵抗)ですので
 RL=8Ωで、最大出力値は下記になり必要電流は、Vcc/RLで計算できます。
  +−10V・・・6W・・・・・1.25A
  +−15V・・・14W・・・・1.875A
  +−20V・・・25W・・・・2.5A
  +−22V・・・30W・・・・2.75A
  +−25V・・・39W・・・・3.125A
 です。
 上記の必要電流は、負荷8Ωの場合であり、4Ω時は倍になり、2Ω時は、その倍になります。
 
 前作のLINEアンプでは、2V(RMS)を低ひずみで送り出しできますので、30W程度の最大出力が得られるよう
 設計製作する事にします。

 出力30Wとした場合、出力段に必要な電源電圧Vccは、計算上22Vですので
 +−22Vが最低必要です。
 上記は、ロス無しの理想状態での話であり、実際は、この電圧にFETの飽和電圧+ソース抵抗電圧を加えた
 値にする必要があります。
 飽和電圧とは、簡単に言えばFETのドレイン・ソース間の電圧であり、使用FETにより変ります。
 だいたい、経験上2〜5V程度見ておけば良いです。
 MOS−FETの場合、熱暴走の心配が無いのでソース抵抗は、無しでも製作可能ですが、
 無信号出力電圧調整(0V)や、アイドリング電流調整用に有った方がよいので入れます。
 ここでは、仮に1V程度を見込み、合計で22V+5V+1V=28V
 のVcc電圧を用意する事にします。

 DC+−28Vを得るには、AC20V程度を整流すれば得る事が出来ます。ここでも整流ロスが出ますので、
 用意するトランスは、AC21〜23V×2程度の物を用意する事にします。

     MOS-FET入出力のイメージ
 上図では、入力電圧と出力電圧が結果的に同じであり、MOS−FETの役目が判りづらいですが、
 MOS−FETで行っているのは、インピーダンス変換です。
 つまり、真空管では、3Aの電流を流せないですので、MOS−FETを間に入れてスピーカー(8Ω)に最大3Aの電流を
 供給出きるようにしています。
 純粋な真空管アンプでは、この役目を出力トランスが行っています。
 (真空管OTLアンプでは、真空管が使われていますが・・・大電流が流せる特殊球を使用しています。)

 目標としては、出力段の周波数特性を150KHz程度は、確保したいです。
 出来れば、200Khz以上がほしい所です。
 真空管の良さ(周波数特性)を余すことなく出力したい為には、出力段の帯域を広くしておきたいのです。
 この為には、MOS−FETのドライブ段では、出力インピーダンス数百Ω程度が必要になります。
 さすがのSRPP回路でもこの値を確保する為には、低rp管を採用し、豊富に電流を流さないと難しいと思われます。
 使用真空管は、407Aで決定ですので・・・407Aでは少し荷が重い!

 解決策としては、真空管の後にインピーダンス変換用ドライブ段を付ければ良いです。
 MOS−FETは、ドライブ電圧を得られれば、ドライブ電流は、必要でないので、接合型FETでも十分低インピーダンスで
 ドライブする事が可能ですので、接合型FETを採用する事にします。

 「電流が必要無い」なら真空管でもドライブ可能と思われるかもしれませんが、MOS−FETにバイアスを与える必要がある為
 必ず、バイアス用分圧抵抗が間に入るので、その分入力インピーダンスが低くなります。
 また、接合型FETの入力容量は、MOS−FETと比べ非常に小さいので、周波数特性を大幅に伸ばす事が出来ます。

 これらを考慮して回路設計を行いました。
 暫定回路
 暫定回路では、MOS−FETへの供給電圧を35Vとしています。
 ドライバー段を追加したので高くしました。
 バラック組して動作確認してみる事にします。

 その他付属回路の検討
 出力トランスを使用しないパワーアンプの場合、DC漏れ電圧出力を監視し危険時にスピーカーを保護する事が必要です。
 完成時に調整を行い動作状態になれば、動くことのない物ですが、私は入れる事にしています。
 使用する部品は、何時壊れるか判りません!完成後、何年も問題なく動く事もあれば、数日で壊れる事もあります。
 以前、問題なく音楽を奏でていたアンプが、突如壊れ、スピーカーをとばした事があります。
 
 以前は、アンプ用のスピーカー保護回路専用ICなども販売されていて安価で実現出来たものですが、
 時代の流れか、これらICは、ことごとく製造中止状態です。
 回路自体は、簡単な物ですが・・・部品数は・・・以外に多く必要です。
 
 また、今回、パワーアンプを作る事にしたのは、薄型ケースに入る手ごろな放熱器を入手したためです。
 本来は、出力パワーより熱計算をして余裕のある放熱器を使用しなければならないのですが、
 使用する放熱器が先に決まっていますので、必ずしも最適な状態になるか判りません。
 (いかにもアマチュア的発想!)
 そこで、アンプ内温度を監視し、高熱時には、アンプ出力を止める保護回路を搭載する事にします。
 
 また、電源ON時のミュートもほしいです。

 これらを、トランジスター回路で構成すると・・・非常に大きな回路になります。=製作費高騰!
 よって、保護回路にマイコンを採用してみる事にします。
 マイコンは、前作でも使用していますし、この程度ならプログラムも簡単に出来るかな!?と思いますし!

 2005/08
 保護回路の回路設計を行いました。
 この回路では、4CH分のDC検出、2CHの温度監視、4個のSP出力ON/OFFスイッチ、LED表示機能を盛り込んでいます。
 まあ、肝心なCPUプログラムはこれからですので、思いつく機能を載せてみました!
 また、温度監視も行うので、VFD(蛍光表示管)を接続出来るようにしています。
 文字情報を表示出来れば、便利ですし、デザイン上もカッコよく出きるかな!?と思いますし!
 VFD未使用時の為に、LED表示も可能な回路にします。(VFDって意外に高いので・・・)
 暫定回路
 片チヤンネルあたり、30Wのパワーで製作するつもりですが、もう少しパワーがほしい場合もあるかと思います。
 その場合は、BTL接続して120Wアンプにする事で解決しようと思います。
 DC検出回路が4CH分あるのは、4チヤンネルアンプの場合とBTL接続で2チャンネルアンプを構成する場合を考慮してです。
 
 基本構成のまとめ
 ここまでで、おおまかな構成がほぼ決まってきました、まとめますと
 1、出力30W程度とする。
 2、電圧増幅段は、真空管とし、WE407Aを使用する。
   ヒーター電圧違いの互換機、5670、WE396Aも使用出来るように設計する。
 3、BTL接続でパワー増大(120W)も考慮する。
   BTL接続に必要な、位相反転回路も実装可能なよう設計する。
 4、出力のDC漏れ検出を行う保護回路を実装する。
 5、アンプ内温度を監視し、温度異常保護回路を実装する。
 6、電圧増幅段(真空管)用、高圧定電圧回路を実装する。
 おおまかですが、このような機能を持つパワーアンプを設計、製作する事にします。
 まあ、本設計時には、変る可能性もありますが!!

 暫定回路でアンプ部を製作し動作確認を行う事にします。

 2005/10
 永らくHP更新をしておりませんでしたが、やっと再開です。
 アンプ部は、暫定回路で動作確認し動作OKです!
 アンプ部回路はこれで行く事にします。

 保護回路部は、もっとシンプルな物に変更する事にします。
 1、2CH分の保護回路を実装する。
 2、温度感知は、シンプルにサーミスター式とする。
   オークションでアンプの保護回路にピッタリな物を入手できたので!
 3、制御には、CPUを使用します。ただVFD表示機能は省略し、LEDで状態表示するようにします。

 アンプ部回路  電源、保護回路図

 アンプ部回路説明
 入力信号は、407AのSRPP回路で電圧増幅された後、2SK246、2SJ103でインピーダンス変換し
 出力段を駆動します。
 本機では、2SC1845でバイアス回路を搭載しています。
 MOS−FETの場合、温度特性が負ですので、温度が上がると電流が小さくなります。
 よって、温度安定度から言えばトランジスターでのバイアス回路は不要です。
 ただ、私の経験から、抵抗だけでのバイアス回路より出力のDC安定度が上がるので採用しています。
 出力のソース抵抗は、0.47Ωを並列にして、0.235Ωとしています。
 このソース抵抗は、上記温度特性より無しでも製作可能ですが、やはり安定度向上の目的で入れます。
 この抵抗値は大きければ大きいほど安定度が増します。
 ただ、この抵抗で出力のロスも出ますので、あまり大きくは出来ません。
 0.2Ω程度が良いと思います。
 0.47Ωを並列にしているのは・・・手元にいっぱい有るからです。

 出力に繋がっている、R16、C7は、発信防止用です。
 これで、強制的に高域を落としています。
 また、R17、Lも同じく発信防止用ですが、これは、スピーカーを繋ぐ事による容量負荷の安定度を高める物です。
 まあ、自作品では入れない場合も多いですが、大切なスピーカーを壊すと困りますので入れる事にします。

 まあ、アンプ部は、いたって簡単なものです。
 NFBは、無しが基本です。
 もし、後から追加する場合は、基板裏配線にしようと思います。

 電源、保護回路説明
 真空管部の高圧電源に簡易型の定電圧電源を実装します。
 真空管ヒーターも三端子レギュレーターで定電圧化します。

 保護回路は、出力のDC出力電圧を検出してアンプ出力を遮断します。
 サーミスターで温度を検出して検出温度が90度に達したらアンプ出力を遮断します。
 また、約70度でFAN用リレーを動作させます。
 大きな放熱器を搭載するならFANは必要ないですが、回路としては実装します。
 これらは、CPUで制御するようにします。
 電源ON時のミューティング、LED状態表示なども行わせる事にします。

 
 今回、同じアンプをマルチアンプ用に複数製作する予定ですのでこれら回路で基板設計を行う事にします。

 2005/10
 必要放熱器計算
 パワーアンプ自作の場合、出力段は必ず放熱器に取り付け冷却しなければなりません。
 放熱器無しで電源ONにした場合、たとえ入力信号な無くても、数秒で出力段素子が死にます!!
 以前は、雑誌の製作記事でも毎回熱計算式が出ており、放熱器購入の参考に出来ましたが、
 最近は、紙面の都合なのか省略されている事が多いみたいです。
 パワーアンプを製作する上で必ず必要ですので熱計算方法を紹介します。
 と書きつつ・・・
 Web内を検索してたら良さそうなHPを見つけましたので紹介します。
 放熱器の計算方法1 の製品案内を見てください。
 放熱器の計算方法2
 
 一から計算して勉強されるのは、上記に任せる事にします!!
 
 ここでは、ズバリ本パワーアンプで使用できる放熱器容量は、
 2.75(℃/W)です。これは、MOS−FET1個での値です。
 同じ放熱器に2個のMOS−FETを取り付けるなら、倍の1.375(℃/W)の物を用意します。
 実は・・・この値は、MOS−FETで最大値の100Wの電力が消費された場合の値です。
 まあ、断言はしませんが、本機の場合最大出力が30Wであり、この値より多少大きくても実使用には、
 支障ないです。
 本来なら、実消費電力を計算して最適な値を採用すればよいのですが、大は少を兼ねますので!
 
 私が使用する放熱器(横25cm高さ4cm奥行3cm)
 ジャンク屋で見つけた物で、熱容量が判りませんが、実測で約640Cu程度の表面積があります。
 だいたい1.5(℃/W)ぐらいだと思います。
 (この放熱器を入手できたのが、今回の製作動機です!)

 2005/10
 基板設計が大方終わりました。
 回路図を眺めながら基板をイメージして設計していると、あれ!?ここ違うかな!?と思う箇所が不思議な事に
 出てきます。
 何度も見ている回路図ですが、間違えや勘違いがあるものです。
 前回の説明文では保護回路で温度異常を検地したら、FANを廻し、出力を遮断する事としていましたが、
 これではダメだと気がつきました。
 温度異常(高温)になる場合で考えられるのは、出力MOS−FETに異常な大電流が流れている場合です。
 この状態では、出力を遮断しても、高価な出力MOS−FETを保護する事が出来ません。
 出力MOS−FETを保護する為には、供給されている出力段電源を遮断しなければならない事になります。
 まあ、出力MOS−FETを保護しても、内部で壊れているので修理は必要ですが!!
 
 この事より、コストアップを承知の上、保護回路に4つのリレーを搭載する事にしました。
 このリレーの役割は、LR出力遮断用と+−電源遮断用です。
 
 搭載している2つの保護回路で異常を検出した場合は、スピーカー保護で出力を遮断する。
 被害を拡大させない為に出力段供給電源を遮断する。
 で保護する事にします。

 ・・・たかだか30Wのアンプにしては・・・大げさな気もしますが・・・
 まあ、自己満足の世界ですので!!

 現在の最終版回路図 回路図1 回路図2
 基板イメージ
 基板は、100mm×300mmで、アンプ部×2、電源部、保護回路部の3つに分割出来る仕様です。

 2005/10
 回路的には、もう最終版になったので、保護回路CPUのプログラムを開始する事にします。
 プログラムと言っても・・・入力電圧をA/D変換し取り込み、検出値でリレーとLEDを制御する簡単な物です。
 数日あれば、形になるかと思います。
 どちらにしても、基板組立て後に動作確認をし多少修正する事になります。
 何時ものごとく、FastAVRと言うBASICプログラムで製作にとりかかります。

 基板設計も終わったので、何時ものごとく、基板製作会社へ見積もりを頼む事にします。
 
 2005/10
 基板製作会社より、見積もりが来ましたので、基板発注しました。
 2週間ほどで手元に届く予定です。
 CPUのプログラムは、未完成ですが、まあ、基板到着までには間に合うかな!?
 
 2005/10
 電源トランスの検討
 このパワーアンプを製作するに当たり、使用電源トランスを決めなければなりません。
 旧タンゴトランスが健在ならカタログからすぐに見つける事が出来ましたが、新タンゴでは、トランジスターアンプ用の品揃え
 が無く、他を探さねばなりません。
 フェニックに特注すれば事は足りますが・・・出来れば特注などしないで済ませたいです。

 用意するトランスは、2次電圧で
 25V−0V−25V/4A程度 出力段用
 0V−17V/ 1A程度 保護回路用
 0V−120V/30mA程度 真空管部用
 0V−8V−20V/1A程度 真空管ヒーター用
 です。

 真空管用の2つは、前作品と同じノグチトランス品が使用できます。
 出力段及び保護回路用は、下記を使ってみる事にします。
 色々探したてやっと見つけました!

 販売先 RSオンライン
 採用品は、上記で「電子部品」−「トランス」−「トロイダルトランス」と進むと確認出来ます。
 225VA品の2×30Vと15VA品の2×18V品です。

 このトランスは、輸入品で1次電圧115Vです。
 115V用に100Vを入れると2次電圧は、規格値の約0.87倍になります。
 出力用には、2次30V品を使い、約26V
 保護回路用には、2次18V品を使い、約16V
 として使用します。
 出力用に225VA品を使い2次直列接続すると、26V−0V−26V/4.3Aのトランスになります。
 (300VA品なら、26V−0V−26V/5.7A)
 一般的に純A級アンプは別として、最大電流は、ほんの一瞬しか流れず、トランス容量は最大値の半分程度で十分です。
 保護回路用に15VA品を使い2次を並列接続すると、0V−16V/0.9Aのトランスになります。
 保護回路用のトランスは、リレーを駆動する為、最適電圧は17V品です。
 HPで紹介されている品の中には、2次17V品がないです。リレーの駆動電圧をカタログで確認すると、定格電圧(24V)
 の70%で動作保障されています。
 よって、AC16Vを整流して得られる約22Vでも動作可能と判断して採用します。
 この辺は、無銭家の自作人として少しでも安く!である意味妥協します!
 また、このトランス採用の一番大きな理由は、ズバリ!トロイダルトランスだからです。
 トロイダルトランスは、極めてフラックスが小さくアンプでは最適だと思っています、また外形も小さいです。

 2005/10
 CPUのプログラムも机上では完成です・・・
 本来なら、試作品を組み立ててテストするのですが、既に基盤発注済みであと少しで完成基盤が来るので
 基盤到着後に動作確認する事にします。
 

 与太話です。
 今日は、仕事が休みで、少し時間を持て余していました。
 先日買った「無線と実験」誌を眺めていたら、アキュフェーズからチューナーが新発売されたようです。
 まあ、値段が値段ですので・・・私には高値の花ですが、・・・
 局部発信部にDDSを使ったのを画期的な事のように記載されていましたが・・・無線通信機では当たり前ですので・・・
 それとは別に!
 D/A変換部にアナログデバイスのD/Aチップが採用されているようです。
 これが気になって仕方がありません!!
 アキュフェーズが採用するぐらいですので音質も良いのかな〜!?などと考えていました。
 入手出来るなら使用してみたいですね!
 と思いながら、早速DACの設計をしてみました、データーシートは、メーカーHPですぐ見つかりましたので、
 数時間で完成です。笑
 DACの設計は、実は簡単です。
 まあ、音を出すだけなら、1時間ぐらいで出来上がります。これは、ほとんどの機能がIC化されていて、
 使用するICの組み合わせを行うだけですので、データーシートを参考にすれば簡単に出来るのです。
 実際は、機能表示のLED点灯方法や、その他付属回路をいかに少ない部品で実現出来るかに時間がかかります。
 昔昔に通信機の設計の仕事をしていましたけど、やはり同じような感じでしたのでその時の経験が生きています。
 まあ、考えている時も楽しいものです!(好きな事は)
 次はDACかな!?

 2005/10
 アンプは、基板部品だけで作れる訳ではありません。
 結線図を書いてみました。
 今のうちに基板以外の肝となる部品を洗い出しておきます。
 トランスは、前項で決まったのでその他部品では、
 ・出力段用の整流ダイオード
   100V、10A以上
 ・出力段用平滑コンデンサー
   50V、10000uF以上
 ・放熱器
   回路図の中には、出てこないが重要部品!

 2005/10
 今日、帰宅するとRSオンラインよりトランスが届いていました。
 トロイダル型でオープンタイプですので小さいです。
 これなら薄型アンプにも使用できます。
  
 
コンデンサーは、オークションでオーディオ用を入手できました。
 71V、18000uFですので容量的には十分です。

 2005/10
 基板製作会社より、発送連絡が来ました。
 もうすぐです!
 基板組立てに当たり、事前準備をします。
 出力段用MOS−FETは、秋葉原の専門店より選別ペア品を購入しました。
 単品品を購入した方が安いですが・・・
 ここでの特性差が、ひずみ率に大きく関与するので値段より実を取ります。
 ペアが組めるほど購入すると・・・いくらかかるか判りませんので・・・
 
 ドライバー段のFETは、MOS−FETよりは、ばらつきが少ないので、200個ほど購入して
 自分でIDSS値を測りペア組してみました。
 なんとか、実用範囲のペア組が作れたので、高いペア品を購入しなくても良いです。
 
 疲れた〜・・・

 真空管も同じくgm値を測りペア組しました。
 今回使うWE407Aは、USAより未使用品を購入してみました。
 箱は、白箱です。
 WEの真空管は、さすがバラツキが少ないです。
 購入した物を50年代後半から60年代前半の製品で旧字体品でした。
 

 2005/10
 本日基板が到着しました。
 さっそく組立てて動作確認をはじめました。
 保護回路部は、注文中の部品が一部到着していないので後回しです。
 まずは、電源、アンプ基板から始めます。
    

  

 問題なく部品取り付けを行い、電源ON!
 出力0V調整を行いアンドリング電流調整とすすみましたら、・・・
 アイドリング電流が最小でも400mA流れています・・・
 予定より多少多いです。
 計画では、100mA〜200mA程度に調整出来るようにする予定でしたが・・・
 まあ、計算ミスかな!?
 重大なミスと言う訳では無いので抵抗値を一つ変更して再度ON
 アイドリング電流を200mAに設定して動作確認を行う事にします。



 バラック状態ですが、入出力特性とひずみ率を簡易測定してみました。
 入出力特性
 ひずみ率特性
 無帰還回路の特徴が出ています。
 出力に比例しひずみが増えてますが、ほぼ真空管部のひずみだと思います。
 最大出力時でも急激なひずみ悪化が無いのは、出力段FET部はまだ余裕がある事を示してます。
 バラック組で、配線も必要以上に長いです。きちんと組めばもう少し良い値が出るかと思っています。
 音は、これから確認です!!無帰還の素直な音が出れば成功なのですが!

 PS.組み上げ後、数時間過酷に測定を行い、最後に出力0V確認を行いましたが、
 初期値とほぼ同じでした。安定度も問題なしです!
 
 2005/10
 
「ひずみ率が悪い=音質が悪い」とは思っていませんが、もう少しひずみ率を良くしたい所です。
 NFBをかければひずみ率は良くなります!でも・・・
 真空管の良さを出す為には、出きれば出力から入力へのNFBはかけたくありません。
 手っ取り早く!!真空管カソードのバイパスコンデンサー(C3)を取る事にします。
 C3を取る=NFB?と思う方も居るかと思いますが、C3を取ると局部帰還がかかる事になります。
 多少でもNFBがかかるので当然ゲインは下がる事になります。
 特性を実測して採用を決める事にします。

 C3無し時の特性は、
 入出力特性
 ひずみ率特性
 結果は、上々です。ひずみは半分になりました。
 入出力も、2V入力で20W、2.5Vで30Wですので特に問題ないレベルです。
 一般的に1V入力で最大出力になるパワーアンプが多いですが、
 1Vにこだわる必要は無いと思っています。
 市販のプリーアンプでも最大出力は、普通10V程度あります。
 10V出るアンプでドライブすると、たえずボリュームを絞って使用している事になるだけでメリットがありません。
 よって最終回路としてC3及びR4は無しにします。
 アンプ部最終回路

 2005/11
 保護回路部の動作確認を始めました。
 調子良く進んでいたのですが・・・回路にミスがあり、当然基板側にも同じミスがある事が判りました・・・涙
 不具合部分は、温度検知部です。
 温度検知用のサーミスターを2つ取り付ける予定でしたが、片方の接続箇所配線にミスがありました。
 う〜〜〜
 温度検知自体は、大きな放熱器を使えば不要です。
 1つのセンサー部は、動いていますので、サーミスターを1つにして温度検知箇所を1つにする事にしようと思います。
 (反省)

 2005/11
 
保護回路部の動作も確認できました。
 
最終回路図

 
全回路で動作確認とれたので、やっと音出しし音質の確認を行いました!
 バラック状態で完全な形ではないですが、刺激的な音が無い聞きやすい音です。
 周波数特性も良く伸びているのに、高音のきつさが無いです。
 早く本格的に完成させて、メインスピーカーに接続してみたいです。
 今のところ成功です!
 周波数特性 図は10W出力の物ですが、1W、30Wでもほとんど同じです。

 

 2005/11
 これで基板部分が完成です。
 最初の構想から、だいぶ時間がかかりましたが・・・
 次は、シャーシに入れを行います。
 
 当初、左右で別々の放熱器を使用する予定でしたが、出力W数が小さいので、実験中でも
 手で触れる程度にしか発熱しませんでした。
 スペース節約で、放熱器は1つにしレイアウトを考えてみる事にします。

 2005/11
 
注文していたケースが届きました。
 
色々考えた結果、幅430mm、奥行450mm、高さ88mmの大きな物にしました。
 この中に4CH分のアンプを組み込む計画です。
 同じ物をもう1台作れば、全部で8CH分になるので、4WAYスピーカーを各チャンネルドライブ出来る事になります。
 また、BTL接続させ、出力120Wの2CHアンプにも使用できます。
 使用スピーカーによっては便利です。
 カタログで一番大きいものを注文して余裕があると思っていましたが、実際に部品レイアウトするとギリギリです。
 出力用トランスは、先のトロイダル型を使います。
 他のトランスは、スペースの関係で、以前DAC用に使用した物を流用する事にします。
 

 2005/11
 
デザインが決まりません・・・
 前から見るとなんか決まらないのです・・・
 デザイン、ケース再考中
 

つづく


真空管ドライブMOS−FETパワーアンプ製作記