真空管出力DACV 製作手順
  回路図1 回路図2
  部品表
  部品実装図
  基板パターン図1(半田面)
  基板パターン図2(部品面)

  データーシート
  DIR1703  
  FN1242

本組立て説明中の写真は、初期動作確認用製作品で配布セットタイプCでの組立て写真です。
タイプA、B、Dでは写真と違う部品になりますので注意願います。
また、配布最終部品と値が違うものを使用している箇所があります。

1、部品確認
  最初に部品表と現物とを照らし合し全部品が有るか確認願います。

2、次は基板のミシン目より、D/A部と電源部を切り離します。
  基板の両面よりカッターで数回キズを付けて折ります。
  D/A部、電源部間は、線材にて繋ぎますが、基板を切り離さないで同様に配線してもよいです。
  D/A部と電源部は、重ねて取り行ける事を考慮し取り付け穴ピッチを合わせています。
   
3、SSOP ICの取り付け
  表面実装部品(SSOP)2つを最初に取り付けます。
  本品組み立てで一番難しい所です。
  逆に、SSOPの取り付けが成功したら、90%は完成したも同じです。
  他の部品を取り付けた後では、実装不可能ですので、一番最初に取り付けてください。

  SSOPを手ハンダで取り付ける方法は色々ありますが、私の方法をご紹介いたします。
  ただし私の方法は、少し荒い方法ですのでご自身の責任で実行願います。
  他の取り付け方法の紹介ページも参考に実行願います。
  Web上で色々紹介されています。 一例をあげておきます。

  SSOP半田付に、半田吸い取り線及び拡大鏡が必要です。
  
  SSOP半田付手順
  1、まずICをテープにて基板に固定します。 
    ICの足が基板パターンとピッタリ重なる様に貼ります。
    この貼り方が成功の鍵です!
    何度も確認してズレが無い事を確認してください。
    ICの足が基板から浮いていない事を確認して、浮いていたら爪の先などで押さえ基板に密着させてください。
  2、ICの足の先端に半田を盛り基板と半田付けします。 
    この時、隣のIC足に半田が付いても気にしないで確実に全足を基板と半田付けします。
    だだし出来るだけ手早く行ってください。
    足のつけ根部分に半田をつけると、取り切れない場合がありますので注意願います。
    出きるだけ足の先の方を半田付けします。
  3、次に、半田吸い取り線を用意し、ICの足に当て、今付けた半田を吸い取ります。 
    この時、隣のIC足とブリッジしている半田が無くなるまで行います。
  4、ICの取り付け確認を何度も念入りに行ってください。
  5、半田ヤニが基板に残りますが、アルコールで拭くと綺麗になります。 
     
  6、今回は、2個のSSOP ICを取り付けます。当然ですが両方正常取り付け出来て動作します。
   
3、SSOPが付きましたら他の部品をどんどん半田付けしていきます。
  背の低い部品より取り付けた方が良いです。
  本基板は、添付部品以外の部品へ交換する場合を考慮して、複数の取り付け穴が開いています。
  特にコンデンサーを取り付ける場合は、穴を間違えない様注意願います。
  基板パターンを確認して部品取り付け願います。
  また極性の有る部品は、くれぐれも間違えないよう取り付けてください。

  添付部品の中には、足がフォーミング(基板挿入用に曲げ加工されている)品が含まれていますが、
  基板穴間隔は、部品足を付根から真直ぐ伸ばした状態で挿入出来るよう設計しています。
        
 
  

  TR1の放熱フィンをハンダ付けします。
   

4、バランス出力オプション
   
  バランス出力用ICは、電源基板側に実装します。

6、JP接続
  光入力又は同軸入力のどちらを入力信号にするか「JP」端子を接続して選択します。
  OPT−IN 又は COX−IN のどちらかをジャンパー接続します。
  (SW等で切り替えれる様配線してもよいです)

7、J396、J407の接続
  J396、J407は、ヒーター電源と真空管ヒーターとの接続を行っています。
  使用真空管が、407Aの場合は、J407を接続
  使用真空管が、5670の場合は、J396を接続 します。
  必ずどちらか片方のみ接続してください。両方接続すると壊れます。

8、LED用端子
  基板穴は、14ピン、フラットケーブル用コネクターを実装出来る様設計しています。(コネクター未添付)
  また、電源電圧は、+3.3Vです。LED用抵抗は、未添付ですので、ご用意される時に注意願います。

これで基板部分の完成です。

  動作確認
  1、電源確認
    電源基板にトランスを接続して電源を入れます。
    煙や臭いに気おつけて異常時はすぐに電源OFF出来る状態で作業します。
    問題無ければ各出力電圧を確認してください。
    V+・GND間 約+150V
    +5V・GND間 約+5V
    −5V・GND間 約−5V
    H+・H−間 約6V 又は 約20V
    問題無ければ、D/A基板と接続します。
    接続後、再度電圧確認を行います。また異常時はすぐに電源OFF出来る状態で作業します。
  2、LED未接続ならアンプに繋ぎ音で確認するしか無いですが、
    LEDを接続している場合は、
    CDよりの信号未入力時:ERR点灯、32K、44.1K、48Kは消灯で正常です。
    CDよりの信号あり時:ERR消灯、44.1K点灯で正常です。

  注意!!!!
  真空管を抜いた状態では電源を入れないでください。
  真空管が付いている状態で適正電圧、電流が流れます。
  感電にはくれぐれも注意願います。
  真空管回路には、高圧がかかってます。


 配線接続例
  
その他、注意事項
  配布部品は、デーピング品よりの切り出し品が含まれていので、部品足長が短いものもあります。(実装には問題なし)

参考

筆者製作品での真空管部電圧参考値(+−10%程度の値で正常です。)

プレート電圧 約152V(対GND間)
カソード電圧 約45V(対GND間)
R18、R19の両端電圧 約43V

無信号雑音電圧 約0.5mV(RMS)
0dB出力電圧 約1.5V(RMS)


間違えやすい部品
組立て時に間違えやすいと思われる部品です。注意して組立て願います。

左側:1S2076A  右側:RD75E(側面に「75」と印刷されています。
RD75Eの「75」表示は、ロットにより縦印刷品と横印刷品が混在しています。共に同じ規格品です。
取り付け間違いを起こすと他の部品が壊れます。十分注意願います。


47uHインダクター



その他必要品
音だしする為には、本部品セット以外に材料が必要です。

(1)電源トランス
  ・オプション配布専用Rコアトランス
   又は
  ・市販、トランス
   8V−0−8V、0.5A 低電圧部回路用
   0−8V、1A 又は 20V、1A 真空管ヒーター回路用
   0−120V、30VA 真空管回路用 (安価な絶縁トランスがおすすめ)
     下記品などが使用出来ます。
     ノグチトランス  PM082(8V、2A) 1個 
                PM30WS(120V、30VA) 1個 
                PM081W(8V、8V、1A) 1個 
                参考写真
(2)チョークトランス
  ノグチトランス PMC−2010H(20H、100mA) 1個 2,100円
    参考写真
    少しでも安くしたい方はPMC−2010Hの代わりにPMC3030H(30H、30mA)1,575円が使用できます。
    また、CHトランスの代わりに1KΩ1Wの抵抗で代用しても動作しますが使用環境では、ノイズが出る場合が
    ありますので注意願います。
  使用トランスが、シールドなしの場合、フラックスの影響を考慮し基板より十分離してください。

(3)その他
・線材
・ケース
・いろいろです。

 
*不具合、改良情報
 部品セットをご購入いただいた方より、下記症状の報告をいただきました。
  ・アナログLR出力で同じ音が出て、ステレオ出力にならない。
 当方の試作品、現用品共に症状が出ず、初期動作確認時に見落としておりましたが
 症状を確認する事が出来ました。また解決方法も判りましたので、製作時の参考にしてください。
 この不具合は、出る場合と出ない場合があり、症状発生時は、ほぼ必ず発生しますが、
 症状が出ない場合もあります。
 音は出ますので、気づかない場合もあると思いますが、少しおかしいと思われたら改造してみてください。


 原因
 当方でいろいろ検証した所、FN1242のアナログ用+5V電顕とデジタル用+3.3V電顕の立ち上がり時間
 の微妙な差で発生していると思われます。
 同じ回路でも症状に差がある事から、ICのバラツキなど微妙な所で明暗を分けているみたいです!?
 回路上、+5V側は、回路に入っているコンデンサー容量が、+3.3Vより大きいです。
 よって、電源の規定電圧までになる時間に差が出る事になります。
 この電源立ち上がり時間の差で、FN1242が誤動作するようです。

 解決策
 FN1242の+3.3V電源の立ち上がり時間を遅らせ、+5V側と同じタイミングにする事で解決します。
 ただ、この時間は、簡単に合わせる事など出来ないものです。
 当方で動作確認出来た方法を紹介します。
 対策を施した回路で20回以上、電源ON/OFFを行い、不具合が発生しないのを確認したものですので
 100%は、保障出来ませんが、実使用上問題ないレベルだと思っております。

 改造内容
 1、C10の100uFコンデンサーを330uFに交換します。
   大きさから、6.3V、330uFが良いと思います。
 2、FN1242の+3.3V回路で、C9+側とC10+側間のパターンをカットします。
   基板部品面側で太い線ですので場所は、すぐ判ると思います。
   カットして、C9+、C10+間の導通を絶ちます。
 3、C9+とC10+間を100Ωの抵抗で接続します。
 これで、FN1242の+3.3V電源立ち上がり時間を遅らせる事になります。
 基板パターン図